看護師の転職で必要な退職手続きとは?

看護師の転職で必要な退職手続きとは?

看護師の転職で必要な退職手続きは、勤務先への退職意思の伝達、引き継ぎ、健康保険・年金の切り替え、離職票などの書類の受け取りです。転職先が決まっており退職日の翌日に入職するか、退職後に空白期間があるかで、健康保険や年金の手続きが変わります。

看護師特有の手続きとして、退職後に看護職として働かない場合は、都道府県ナースセンターへの「看護師等の届出」が必要になることがあります。退職前に、勤務先の就業規則と転職先の入職日を確認して、手続きを分けて準備しましょう。

看護師の転職で必要な退職手続き一覧

まず、次の手続きを確認すると漏れを防げます。

手続き 主な確認内容 手続き先・提出先
退職の申し出 退職希望日、退職届の提出時期、引き継ぎ 勤務先の上司・人事担当者
健康保険 転職先の健康保険に入るか、空白期間の保険をどうするか 転職先、協会けんぽ・健康保険組合、市区町村など
年金 退職日の翌日に転職するか、空白期間があるか 転職先、市区町村、年金事務所など
雇用保険 離職票や雇用保険被保険者証の受け取り 退職する勤務先、ハローワーク
住民税 給与からの天引きを継続できるか、退職時にまとめて納めるか 勤務先、市区町村
看護師等の届出 退職後に看護職として働かない場合の届出対象か 都道府県ナースセンターなど

1.勤務先に退職の意思を伝える

最初に、直属の上司へ退職希望日と転職予定を伝えます。病院や施設によっては、退職の申し出を「退職日の1か月前」などと就業規則で定めているため、まず規則を確認してください。

期間の定めがない雇用契約では、法律上、労働者からの申し出から一定期間が経過すると退職できる扱いがあります。ただし、実際の退職日や引き継ぎは勤務先の就業規則、雇用契約、シフト作成の状況によって変わります。無断で出勤を止めず、退職日を勤務先と書面で確認しましょう。

退職を申し出るときに確認すること

  • 退職希望日と最終出勤日
  • 有給休暇を使う日数と取得時期
  • 夜勤や担当患者の引き継ぎ方法
  • 退職届の提出が必要か
  • 制服、職員証、鍵、貸与端末などの返却日
  • 退職後に受け取る書類の送付方法

退職理由は、転職先の名称や詳しい条件まで勤務先に伝える必要はありません。就業規則で定められた方法に従い、退職日と引き継ぎ内容を明確にすることが大切です。

2.退職届を提出する

勤務先から提出を求められた場合は、指定の様式や提出先を確認して退職届を出します。口頭で退職の意思を伝えただけでは、勤務先との認識がずれることがあるため、退職日を記載した書面を残しておくと確認しやすくなります。

退職届には一般的に、退職日、提出日、所属、氏名などを記載します。ただし、勤務先によって書式や提出期限が決まっている場合があるため、先に人事担当者へ確認してください。

3.退職時に受け取る書類を確認する

転職先や退職後の手続きで使う書類があるため、退職前に「いつ、どの方法で受け取れるか」を確認します。

  • 雇用保険被保険者証
  • 離職票(必要な場合)
  • 源泉徴収票
  • 健康保険資格喪失証明書
  • 年金手帳または基礎年金番号が分かる書類
  • 退職証明書(必要な場合)

転職先が決まっていても、源泉徴収票は年末調整に使うことがあります。離職票は、転職先が決まっていて失業給付を申請しない場合には通常すぐ使わないこともありますが、必要になる可能性があるなら退職前に発行を依頼しておくと安心です。

健康保険資格喪失証明書は、退職後に国民健康保険へ加入するときなどに求められることがあります。勤務先から自動的に届くとは限らないため、必要な場合は発行方法を確認してください。

4.健康保険を切り替える

健康保険は、転職先にすぐ加入するか、退職後に空白期間があるかで手続きが変わります。退職日の翌日に転職先へ入職し、転職先の健康保険に加入する場合は、原則として転職先が加入手続きを進めます。

退職日の翌日に転職先へ入職する場合

転職先の健康保険に加入するため、転職先から求められた書類を提出します。前の勤務先の健康保険証や資格確認書などは、退職後に使用できなくなるため、勤務先へ返却してください。

マイナンバーカードを健康保険証として利用している場合でも、前の勤務先の健康保険資格が退職後に残ったままになるわけではありません。新しい勤務先での加入状況が反映されるまでの扱いは、転職先の人事担当者に確認しましょう。

退職後に空白期間がある場合

転職先に入職するまで期間が空く場合は、次のいずれかを選ぶことになります。

  • 家族の健康保険の被扶養者になる
  • 前の健康保険を任意継続する
  • 市区町村の国民健康保険に加入する

家族の被扶養者になれるかは、家族が加入する健康保険の基準によって判断されます。任意継続には加入期間などの条件と申請期限があるため、加入していた健康保険の窓口へ早めに確認してください。国民健康保険の加入手続きは、原則として住所地の市区町村で行います。

退職後に健康保険へ加入しないままにしておくと、医療機関を受診したときの負担や保険料の扱いで問題になることがあります。空白期間がある場合は、退職日と転職先の入職日を伝えて、退職前に手続き先を決めておきましょう。

5.年金の切り替えを確認する

退職日の翌日に転職先で厚生年金へ加入する場合は、通常、転職先が手続きを行います。転職先から基礎年金番号が分かる書類などの提出を求められたら、指定された期限までに提出してください。

退職後に空白期間がある場合は、国民年金への切り替えが必要になることがあります。住所地の市区町村や年金事務所で、退職日と次の勤務先の入職予定日を伝えて確認してください。

配偶者の健康保険の被扶養者になり、一定の条件を満たす場合は、国民年金の第3号被保険者になれることがあります。健康保険の扶養認定と年金の区分変更は別に確認が必要なため、配偶者の勤務先へ手続きを尋ねましょう。

6.雇用保険の書類を受け取る

転職先が決まっている場合でも、雇用保険被保険者証は次の勤務先で必要になることがあります。前の勤務先から受け取り、転職先へ提出できるように保管してください。

退職後すぐに働かず、失業給付の受給を検討する場合は、離職票が必要になります。離職票が届かない場合や、離職理由の記載に事実と違う点がある場合は、勤務先やハローワークへ確認します。

なお、転職先が決まっている人が失業給付を受けられるかは、就職予定日や求職の状態などによって判断されます。受給できると決めつけず、必要な場合はハローワークで確認してください。

7.住民税の支払い方法を確認する

住民税は、退職時期や次の勤務先の給与支給時期によって、給与からの天引きを続けられる場合と、退職時にまとめて徴収される場合があります。転職先で天引きを続ける場合は、勤務先同士の手続きが必要になることがあります。

退職後に自分で納付する場合は、市区町村から届く納付書で支払います。退職時に人事担当者へ、住民税が「転職先での天引き」「退職時の一括徴収」「自分で納付」のどれになるか確認しておきましょう。

8.看護師に関係する退職後の届出を確認する

保健師、助産師、看護師、准看護師などの免許を持つ人は、退職後に看護職として働かない場合、看護師等の届出の対象になることがあります。届出方法や対象となる状況は都道府県ごとの案内を確認し、都道府県ナースセンターなどへ手続きを行います。

転職先が病院、診療所、訪問看護ステーション、介護施設などで、看護職として働き続ける場合は、退職したことだけを理由に免許を取り直す必要はありません。転職先から免許証の写し、氏名変更の有無、登録番号などの提出を求められた場合は、指示に従って準備してください。

看護師免許証を紛失している場合や、結婚などで氏名が変わっている場合は、転職先への入職前に必要な手続きを確認するとスムーズです。

退職日までに行う返却と引き継ぎ

退職日までに、勤務先から借りている物品を返却し、患者情報を含む資料を持ち出さないようにします。看護記録や申し送り資料には個人情報が含まれるため、自分の転職活動の資料として保存することは避けてください。

  • 職員証、入館証、制服、ロッカーの鍵
  • スマートフォン、パソコン、タブレットなどの貸与品
  • 通勤定期券、名札、駐車許可証
  • 勤務先の資料、患者情報、記録類
  • 未精算の立替金や貸付金に関する書類

引き継ぎは、担当患者の状態、継続中のケア、注意点、予定されている処置などを、勤務先が定めた方法で行います。患者情報を転職先へ持ち込んだり、個人の端末へ転送したりしないことが重要です。

看護師の退職手続きを進める順番

転職先が決まっている場合は、次の順番で進めると確認しやすくなります。

  1. 転職先の入職日を確定する
  2. 現在の勤務先の就業規則で退職の申し出期限を確認する
  3. 直属の上司へ退職希望日を伝える
  4. 退職届、引き継ぎ、有給休暇、最終出勤日を確定する
  5. 健康保険と年金の切り替え方法を確認する
  6. 離職票、源泉徴収票、健康保険資格喪失証明書などの発行を依頼する
  7. 退職日までに貸与品を返却する
  8. 退職後、必要に応じて市区町村、年金事務所、ハローワーク、ナースセンターで手続きを行う

すべての手続きが終わったら、転職先への提出書類と、役所などへ提出する書類を分けて保管します。特に、転職先の入職日が退職日の翌日でない場合は、健康保険と年金の切り替えを後回しにしないでください。

退職手続きで迷いやすいポイント

退職届を出せばすぐ退職できる?

退職日をいつにできるかは、雇用契約の期間、就業規則、退職の申し出時期によって変わります。希望日だけを記載して一方的に出すのではなく、勤務先と退職日を確認したうえで提出しましょう。

転職先が決まっていれば健康保険の手続きは不要?

転職先の健康保険に入るまでに空白期間がある場合は、別の健康保険への加入を検討する必要があります。入職日が退職日の翌日かどうかを基準に、転職先の人事担当者と確認してください。

離職票は必ず必要?

転職先が決まっていて、失業給付の申請もしない場合は、すぐに離職票を使わないことがあります。ただし、退職後の予定が変わる可能性がある場合は、発行を依頼しておくと手続きの選択肢を残せます。

まとめ

看護師の転職では、退職日の決定と引き継ぎだけでなく、健康保険、年金、雇用保険、住民税の切り替えを確認する必要があります。特に重要なのは、退職日の翌日に入職するか、空白期間があるかです。

まずは転職先の入職日と現在の勤務先の就業規則を確認し、勤務先の人事担当者へ、退職書類の受け取り時期と健康保険・住民税の扱いを尋ねてください。退職後に看護職として働かない場合は、都道府県ナースセンターへの看護師等の届出についても確認しましょう。